【お店での靴選びが難しいのはなぜ】既製靴が合いにくい理由を聞く

 靴屋で靴を選ぶときに、自分の足に合う靴を探すのは難しい。店員が足を計測しても、合う靴が出てくるとは限らない。販売員経験者としても、店員の努力ばかりでは補えないものを感じる。既製靴は足に合うように本当に作られているのだろうか。 各務房男氏に、考えや主張を聞いた。(2013/01/24インタビュー/質問者:平林)

 

-----------靴をお店で選ぶときに、足合わせが難しいのはなぜでしょうか?

 (個人の足に対して)一個ずつ靴を作ったら億単位になるからそれはできないから、「あなたの足に合う靴はこういうタイプの靴ですよ」というのを、靴メーカーの方が分類をするのだけど、この分類のうまさがないと、この既製靴は合わないんだよ。

 じゃあ、その分類研究しているかって言ったら何もやっていない。

-----------そうですね、店頭で販売員がお客さんの足を見たり計測をして「幅広ですね」とか「足が倒れていますね」とか言っていますけど、足つきの傾向をなんとなく言っているだけですもんね。「じゃあ、それに合う靴はどれですか」と聞いても、分からない。結局は足の長さと幅を参考にする程度で、試しに履いてみてくださいということしかないですからね。

 そう、何もやらなくたってみんな試しよ。足を入れなくては靴は絶対に買えない。試しといっても、そりゃ数値があったとしても最後は試しに履いてみましょうっていうのは絶対要るんだけど、「無駄なし」「相手に納得する」それから「もっと合わせることもできますよ」っていうことで、気に入らなければ注文するとか合わせる靴ができますよと。

-----------だから店頭では合う気がしても、歩いてみるとすぐに駄目だった(合わなかった)ということばかりなんでしょうね。

 それは(販売員)経験者は物語る、なんだろうね。そうすると「ああ、気の毒だな」と思うだろう。そうだとしても土の付いたのを引き取るわけにもいかないから「もう汚れちゃうとだめなんですよ」って言って、こう伸ばしたり詰めたり(調整を)して…。

 だから、もうちょっと親切な方法でやらなくてはいかん訳よ。

-----------なぜこのような状況にあるのでしょうか?

 それは、製靴技術の未熟性がそうさせている。みんな根性が悪いわけではなくて、製靴技術が未熟だから、そういう対応ができない。

-----------そうです、販売員も別にだまそうと思っているわけではない。一生懸命やっているんですよ。

 そうするには、靴はもっと高度なものだという(気)構えをも持たなくてはいけない。それで足と靴を合わせるにはここが急所だから(ということを知る)。千差万別な足の分類をする。そして許容限界というのがあって、どのくらい違ったところまで我慢できるかということだけれど、それを把握する。それを調べるのも靴屋がやるべき仕事だけれども、全然やっていない。そういうのを、基礎靴学として、業界サイドでやらなくてはいけない。そして、できたものは靴業界で会費を納めているような人は、みんなもらえなくてはいけない。

 だから、製靴技術をもっとまともにきちんとやるには、前々から言うように、大学に靴科を作るくらいにしないと駄目なんだよ。そうしないと、そんな勉強なんか、業界に入ってからできないよ。

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■部品「先芯についての考察 」2016/01/14追加しました。

 

■2016/01/07記事追加しました。

・所感、雑文「製靴技術は、靴有史以来の感覚的靴技術から発展していない