感覚的製靴技術と工学的製靴技術の違いについて(簡易)

 一般的な靴作りの工程は、設計図、伝達指示書、記録事項、数値的表現はほとんどなく、各作業は作業者の頭の中にあるだけで、暗黙裡の了解で行われていく。途中の検査事項はごくわずかで、眼識や目測検査が多い。

 

 このような従来の技術は、感覚的な製靴技術と言える。それは、内容が分かりにくく、正しく教えたり伝えたりすることが難しいためである。また習得に時間がかかり、作業工程や仕上がりを第三者が評価することも困難である。

 

 一方かがみ式では、まず構想を設計図化し、分析値の確認をとりながらパソコン一式を用いて靴作りを行う。このように、数値を用いて、誰にでも理解し評価できる技術は、便利で実用的な、工学的製靴技術と言える。

 

 かがみ式の製靴技術は、従来の感覚的技術を分解し、それぞれの再調査を行い、測定実険を繰り返し、その分析数値を収集、統結してきた結果である。途上に必要とする専門ソフトの開発も独自に行ってきた。そのようにして、足型タイプの分類、足型に完全に合う靴型設計技術の開発、更に、靴型表面からの靴部品設計が可能になったのである。

 

 曖昧で分かりにくい感覚的製靴技術から、誰にでも理解でき迅速、正確な工学的製靴技術に変換することは、これから世界に通用する靴を作るためには、絶対に必要なことである。

 そして、これから靴業界へ参画する若手にとっても、靴技術習得の一番の近道となるものである。

 

(この文章は、各務房男が執筆した論文を、 編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)

 

<引用文献>

各務房男,「感覚的技術で出来ること 工学的技術の特長」,第18版68頁.

各務房男,「A感覚的に構想を練る B工学的に構想を練る」,第21版46頁.


 

 

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■部品「先芯についての考察 」2016/01/14追加しました。

 

■2016/01/07記事追加しました。

・所感、雑文「製靴技術は、靴有史以来の感覚的靴技術から発展していない