デザインの靴型表面への描写

 デザインを実用するには、紙面上の絵から、靴型表面上の実物大に描写することが必要である。

 ここでは、足型の基準的位置の表示を靴型表面上に規定し、この位置を考慮してデザイン線を描画する方法を説明する(かがみ式)。

 

 まず、靴型にセンターラインを引く。

 センターラインには、靴型設計や靴型の性能を見る場合の線と、デザインを描く場合の線とがある。前者は専用器具を用いて正確に引く。後者は前者と同等のこともあるし、手操作の線引きでもOKである。直線に見える線とは限らず、カーブして描くこともある。外カーブに限り有効である。カーブ線は、底面にも同様に描くようにする。

 

 次に、その線上に基点を設定する。

 靴は履物にして足との関係があり、思惑だけでデザイン線を描けない部分がある。足の骨格に対応する位置を、確認することが大切である。そして、足に関するそれらの位置を、靴型上に設定し、考慮の上でデザイン線を描くことが必要である。

 

 特に重要な点は、靴踵の深さの基準点(VD)、トップラインの高さ(Z2A)、足入れ口最上位(QB)、歩行による前方屈曲点(UB)、爪先先端点(NO)などである。また、必要に応じて追加点がある。

 これらの位置は、踵が平面にある時と、上昇した時では異なってくる。足の踵高状姿勢(踵が上がった姿勢)と靴型の踵上昇姿勢を同等にして、両者の数値を対応させる必要がある。

 正確を期すれば、足型計測と靴型測定の勉学が前提事項になる。しかし、ここではデザインの設定に関する所であるので、ローヒール、中ヒール、ハイヒールのような区分で行うなど、大略的でも構わない。

 

 足型の基準的位置の表示は、OO線、BB線、VV線、の三本の定規で規定されている。

<OO線>足裏のセンターライン上の各区割りと寸法

<BB線>足甲部のセンターライン上の区割りと寸法

<VV線>足踵部センターライン上の区割りと寸法

これらは、足長、後部足長比、踵高さで変化する。そして、後方余裕寸法と前方余裕寸法が加味されてくる。この定規があれば、靴型表面に合わせて規定できることになる。

 定規の作り方については、一定の計算式がある。その都度計算するか、基本定規として用意しておけば、その場で計算を不要にして、簡単に基点を付けることができる。

 

 靴型の表面に、センターラインを引き、基点を設定したら、いよいよデザイン線を描く。

 

 靴型表面に描く線は、平面上と異なり難しいものである。

 正確に綺麗に描くには、雲形定規を使うことをかがみ式では勧めている。

 靴のデザインは千差万別にして膨大なものである。しかし、線を分解してみると、ある範囲の中にあることがわかる。この線型を選別し加工したものが、“かがみ式”雲形定規である。この定規を使い、靴型上の基点を結び描けば、容易に綺麗に迅速に、デザイン線を描くことができる。

 雲形定規の材質は、半透明で、ペンの滑らない厚さで、柔らかく靴型表面に密着し、滑りにくいものが適している。

 デザイン雲形定規については、ハトメ穴、羽根枠線、モカ線、トップライン線など様々あり、別途詳しく述べることにする。

 

 また、デザイン描写で難しいことは、靴型外側と内側のデザイン線のバランスをとることである。

従来は、感覚的眼力で定めることであったが、靴型面の大きさや、内外の投影的面積のバランスで、測定計算して、内外のバランスをとることもできる。かがみ式考案の“バランス見取表”を使うと便利である。

 

 以上のような方法で、デザインを靴型表面へ描画すれば、熟練者の眼識と同等か、それ以上のことが、初心者にも容易にできるようになる。

 

 

(この文章は、各務房男が執筆した論文を、 編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)

 

<引用文献>

各務房男,「デザインの考案と靴型表面への描写」,第6版7頁.

各務房男,「靴デザインの基本点」,第6版91頁.

各務房男,「靴型表面、デザイン線の描写 基点の内容について」,第7版38頁.

各務房男,「靴型の上にデザイン画線を描く」,第13版39頁.

各務房男,「靴型表面上にデザイン画を描く、要点について」,第17版187頁.

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■2016/01/07記事追加しました。

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