皮革計量実施のすすめ

 一般消費の皮革計量とは、面積を測る事である。 皮革をはじめ靴部品の多くは、面積単位で価格が定められている。

 皮革では、100mm×100mmの大きさを1DS(デシ)として単価がきまる。その他の材料でも、縦何mm×横何mmの面積に対応した価格表示が多い。

 

 最も靴の原価に影響があり、計量のむずかしいのが皮革である。

 一般に皮革の計量は、専門計量所の仕事とされている。

 一枚一枚の皮革の型状は異なり、中にはキズ穴のある物もある。外郭線部は、不特定なビラビラもあり、ビラビラは分量に含まれるが、キズ穴は除外される。

 つまり、非常に測りがたいという事である。

 

 専門計量所では、規定の測定機器で計量を行なっており問題はないが、一般メーカーでの計量は、昔から今も、皆無の状態で推移してきている。

 

 一枚ごとに、皮革の裏側には、DSが記載されている。

 しかしながら、皮革の表示面積が、実際の皮革の面積よりも少ないと思われる場合がある。

 皮革の計量は、革が仕上がる直前に行われる事が多い。乾燥不十分な皮革を、機械で引き伸ばした状態で計測すれば、大きな面積で記録される。以後に、皮革が乾燥し縮小するとすれば、表示数値より実際の皮革面積は小さいかも知れない。そのような事もあって、2%位までの過不足は“許容範囲内”とされている。

 

 皮革の過不足が引き起こす問題は大きい。

 例えば、一足に20DSが必要として、100足では2000DSが必要である。その時に、3%の不足分があるとすれば、その分ができない事になる。

 そして、不足革分の別途の再注文は、手順の悪さに加えて、革の質の変化も起きやすい。

 損得の問題だけではなく、非常に生産性の悪い事になる。

 そのような事からも、皮革の面積は正確な表示が必要なのである。

 

 もし、各メーカーや個人でも、皮革計量を習慣的に継続して実施できれば、それらの問題を解決する事ができる。

 

 ここでは、専門計量所でなくとも、各メーカー、個人的にも、皮革の面積が測れる事を説明する。皮革の面積測定の他、型紙の面積など、靴作りに関わるすべての面積測定が可能になる。

 

 準備として、パソコン本体、デジタイザー、プロッター、プリンター、カメラ、*使用ソフトKAWADS-6。を使う。

 

 測りたい革を壁に掛けて、写真撮影をする。革の縦横に線を描いたとして、線の両端にランドマークを設置。マーク間の寸法を測る。

 この写真をデジタイザーに設置して、写真のランドマーク間の寸法を採点する。そして、現物のマーク間の数値を入力すれば、倍率が計算されて、写真の皮革にかけられる。倍率は、精度を考慮して、縦横の平均値を使う。

 皮革図の外郭線上を、デジタイザーで時計回りに採点一巡すると、皮革図の面積が測定される。

 それに倍率の二乗をかけて、現物のDS面積が計算される。

 皮革図内にキズ穴があれば、穴の外郭線を半時計回りに一巡することで、キズ穴面積が減算される仕組みである。

 測定の精度を確認するためには、現物革の写真を撮るとき、100mm×100mmなど測定の容易な枠線を描き入れて実験すればよい。違和感のない精度で使える事が判明する。

 

 このソフトを使った簡単な操作としては、使用革残分のDS計量、くず分の確認など、応用範囲は広い。

 また、型紙の伸縮(靴サイズ差)に対応した、型紙外郭線の寸法や面積についても、技術者個人の机上で消化できる内容になる。

 

 現在の靴ソフトは、他産業種のアレンジ物かソフト技術者独作もので、靴本来の要望を満たすソフトは皆無に近い状態である。

 寸法、面積、角度の測定は、多岐多様に身近に使えるものであり、明快で単純なソフトは、自作できるものである。

 

 

 

(この文章は、各務房男が執筆した論文を、 編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)

 

 

<引用文献>

各務房男,「皮革計量の継続実施」,第12版142頁.

 

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■部品「先芯についての考察 」2016/01/14追加しました。

 

■2016/01/07記事追加しました。

・所感、雑文「製靴技術は、靴有史以来の感覚的靴技術から発展していない