先芯の役割。
月型と同様に足の爪先部分を中底の上に置き、外にずれないようにする。
先芯は外部からの衝撃に対し足を保護する。またアッパーの形状を固定し、その形状はスタイル、流行を意味し重要な役割となっている。
また爪先部分を固定することはトウスプリングを維持することにもなる。
その形状は靴型によるもので、足との対応も重要であるが、外観スタイルは極めて重視されているものである。
先芯の材質。
昔は革、今では溶剤タイプのものが多く使われている。型崩れがなく、操作性の良いものが使われる原因である。
革の先芯には使い方に特長があり、使い分けられる。材料には床革と銀付きとがある。
先芯についての注意事項は、装着する位置である。歩行に対する靴の屈曲点(UB)部のシワの出る範囲を避けて入れなくてはならない。(UB点の前後Xmmがシワの出る範囲である)
アッパーデザインの違いで、月型の上線形状を変化することもあり、一率のものではない。また上線の位置も、踵の高い靴では深めに入れることが出来るし、ロウヒールでは浅めの方が良い。爪先の薄い靴型での先芯は、柔らかいタイプのものが良い。
革の先芯では手漉きとなるが、NOB部を頂点とした山型が、崩れなくて良い形である。
床面を上にして形状を調整し硬化剤で固め、好みのスタイルを作ることも出来る(通常は銀面を上にする)。
先芯を装着する作業(釣り込み作業のなかに入る)については、別途の問題があり、専門編を参照のこととし、ここでは省略する。
(この文章は、各務房男が執筆した論文を、 編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)
<引用文献>
各務房男,「かがみ式 靴部品の設計と工作」,第2版1頁.