かがみ式 足裏分析 1

 昔ながらの手測り計測や三次元での計測にしても、足型計測の主役は足裏フットプリント図型に変わりはない。

 この上に、該当しそうな靴型の底面を押し付け、観察し、さらに靴型甲囲の寸法を見て足囲と照合して、総合的に靴型を検討するというのが、従来の一般的な足型計測から靴型製作への流れである。 

 

 ここでは、平面の紙の上で足裏を採型、もしくは、既に3D計測機などで足裏を採型した足裏フットプリント図を元に、”かがみ式基点及び基線の配列”を用いて足裏を分析する手法を、数回に分けて説明する。

 

 かがみ式では、足裏を把握しやすくするために、3つの外郭線の設定をしている。

 

------------a. FR線の記入・設定

 

 平面上に直立した足の側面に当るように鉛筆を立て(スクライバーでも可)一巡し、下の紙上に線を移し描かれた、側面外郭線の事をFR線とする。

 足を真上から見て、一番横に出ている外郭を下ろした投影線である。

 足を横から見た場合、その線は上下に起伏を持った線である(高さ)。それは、足の部分で異なり、また個人差は大きいものである。FR線は、足の側面、靴型の側面肉付きを見る線である。関連して足裏の状態も読める。

 

 第1中足骨凸部(E1R)、第1指後方の最凹部(T1R)、第1指最凸部(M1R)、第5中足骨凸部(E2R)、第5指後方の最凹部(T2R)、第5指最凸部(M2R)などの各点を記録する。

 また、鉛筆(またはスクライバー)が、足に触れて一巡する接触部位も記録しておくことが望ましい。

 

 

------------ b. FSS線の記入・設定

 

 足裏面に塗料を付けて直立した場合、床面と足裏の接着面に塗料が付く。その外郭線をFSS線とする。

 見所は接地面の面積であり、FR線との比較である。FR線に対してFSS線の面積が大きい(率)とすれば、足が柔らかい事が推測される。手測である場合、足に触れて感触感を得る事ができる。しかし、3D計測機などの非接触の計測になると、接触感は得られないので、この面積で、足の柔らかさ等を推測することになる。

 また、内踏まず部分は足裏の大きな特徴である。他に、指部分の接地面積の具合、踵部分の状態、体重の分布を推測して見る事もできる。

 

 この線は、足型計測時の姿勢、椅子座位、両足直立、片足全体重、など姿勢による差が大きい。また、朝昼夜、運動前と運動後など、生活状態によっても大きく異なる。

 

 

------------c. FASB線の記入・設定

 

 FASB線は、FR線とFSS線の中間を通る線である。

この線が靴型底面を設計する考え方の基線になる。極めて重要な線であるが、この設定には経験を必要とする所があり、難しいものである。

 

 人間の足には底面(足裏)と側面との境界に角がない。しかし、靴型を設計する上では、靴作業性から、角を設定する必要がある。足裏に便宜的に角を設定して、靴型側面と対応させようとするものである。内踏まず部分の境界線は、特に足にはない線であるが、靴型底面を連想する線を描く。これは、感覚的な操作の一例である。初心者には分かり難いが止むを得ない。練習の必要な所である。

 

 

 以上、かがみ式で用いる3つの外郭線を説明した。

 

 かがみ式では足裏フットプリントと併せて、古くから石膏を用いて足裏型を採型している。

 石膏型は立体であり、平面のフットプリントよりも、足裏を立体として把握することができる。

 特に内踏まずの部分は重要な見所である。接地面からの浮き上がり部分の詳細や、足裏の微妙な所まで読むことができる。他に、各指の長さ、太さ、間隔、指の凹凸状態、体重が足裏に掛かる範囲の推測もできる。

 

 足の裏を一面の平面として見るのではなく、立体的なものとして、体重の分布を凹凸的に捉えることは大切なことである。その資料として“足裏石膏型”は十分な役割を果たしている。

 

 今日、3Dなどの非接触の足型計測が発達してきたが、その数値DATEと共に、現物に近い立体物が目の前にあれば、靴型設計者として心強いものを覚える。

 

 

(この文章は、各務房男が執筆した論文を、 編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)

 

<引用文献>

各務房男,「フットプリント」,第3版1頁.

各務房男,「足型計測 足裏の分析(靴型設計対応)」,第6版49頁.

各務房男,「店頭の足型計測、足裏フットプリントの分析」,第24版35頁.

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