足の甲囲と靴型囲の関係について

 足に合う靴型を設計するときに、誰でも最初に考えるのは、足と靴型の甲囲の関係であろう。

 

  一般には、足指の付け根の一番出っ張った部分を一周測り、甲囲としている。

 

  足の甲囲寸法よりも、靴型の甲囲寸法は小さくするものである。この寸法掛け率を、「ころし率」などと言う。どの程度小さくするかは、昔から靴の作り手それぞれの経験で行われており、はっきりとした決まりはない。

 

  しかし、このころし率をあてずっぽうで決めると、ゆるい靴になったり、反対にきつい靴になったりする。正確な靴型設計を行うためには、この部分をはっきりとさせなければいけない。

 

  かがみ式を用いれば、あらゆる条件を考慮して、正確に靴型の甲囲寸法を計算することができる。

 

  ころし率を考えるときには、足の肉質の固さ、履く人の締めつけ感の好み、ひも靴かパンプスかの違い、また、ヒールの高い靴か低い靴かということなどが関係する。

 

  その他にも、着用する靴下の締めつけの強さ、靴下の厚み、足と靴型との断面形状の違いによって少し隙間ができる分(形状差寸法)、靴が仕上がった後に貼りつける中敷きの厚みなどを計算にいれなければならない。

 

  これらを考慮して、足の甲囲寸法から靴型の甲囲寸法を計算するには、かがみ式を用いて、電卓で計算することができる。

 

 

【計算式の例(ある条件下での一例)】

 

靴型囲 =(足甲囲*94%)-(足甲囲*靴下による縮率)+靴下分 +形状差分 +中敷き分 - アッパー伸び分

 

 

  甲囲寸法を測る位置は、1カ所ではなく、かがみ式では6カ所としており、計算式は少しずつ異なる。そのため、靴型設計を行うたびに、たくさんの計算を電卓でするのは大変な作業となる。パソコンの表計算ソフトを用いて、もっと簡単に計算させることもできるだろう。かがみ式独自開発ソフトの中には、各条件を入力すると、計算結果を表示するものも存在する。指定条件を変更して計算し直すことも多いので、簡単に計算のできるパソコンソフトの利用をおすすめする。

 

  甲囲について、もう一つ大切なポイントがある。

  それは、足と靴型とでは、全周の甲囲を対比させるだけでなく、内側と外側の寸法割合も合わせなければならないということである。

 

  そうでなければ、靴を履いたときに、足の内側が窮屈になったり、反対に外側が窮屈になることがある。これでは、靴の中で素直に足が落ち着かず、よい靴とは言えない。また、足を痛める原因にもなる。

 

  足の甲囲寸法を計測する際には、足(足裏と足の甲)にセンターラインを定め、内側の寸法と外側の寸法を計測する。そして、センターラインを一周描いた靴型と、その数値を対比させることが必要となる。

 

  このことは、足に合う靴型設計を行うためには、極めて重要なポイントである。

 

 

  以上、靴型設計における足甲囲と靴型囲との関係について述べた。足甲囲から靴型囲を導く際に考慮すべき項目は意外に多い。靴型を正確に設計する一助となればと思う。

 

  靴型設計では甲囲以外にもたくさんの項目がある。詳しい計算式については、かがみ式靴教室での「靴型講習会」で学ぶことができる。

 

 

 

(この文章は、各務房男が執筆した論文を、編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)

 

 

<引用文献>

 

各務房男,「足甲囲と靴型囲の関係について」,412.

 

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