足型計測の基本仕様

 足に合う靴の関心が高まり、店頭にも3D計測機が配備され、足型計測は盛んになっている。しかし、靴が足に合わない、この苦情は昔からそのままなくならない。

 

 足に合わせて靴を作る。当然の事であるが、靴業界を見渡すと、必ずしも理屈どおりとは言いがたい部分がある。昔から靴は作られてきたが、足との対応は万全ではなく、最近になり関心が高まり、ようやく問題定義がされてきた状態である。

 

 履きやすい靴と足型の関係は、両者の正確な対比から始まり、対比は位置の定めがあって初めて可能になる。

 足型と靴型との関係を対比して見るには、いくつかの条件があるが、①同じ位置、②同じ姿勢である事が絶対条件となる。

 

 

① 同じ位置での測定(同じ位置で測定しなければならない意義とは?)

 

 足型計測の目的が、靴型設計にあるならば、靴型設計技術の確立が先行し、技術内で要望する資料を、足型計測から得ることになる。この順位は不可決な条件である。

 靴型設計技術が曖昧であれば、3D計測機で足を精密に測定しても意味はない。

 

 例えば、足型計測の際のセンターラインと靴型設計の際のセンターラインは、どちらも個々に設定する線であるが、靴の中に足が入った時、両方のセンターラインが合致しなければ、足型計測の数値の意味はなくなる。

 また、店頭で足を計測する担当者と、靴型を設計・製作する担当者がそれぞれの思惑で測定点を設定すれば、合致することは少ない。

 

 経験や勘に頼った感覚技術から、同じ知識、同じ技術を共有できる工学的靴技術に移行する第一仕様が、位置の明確化にある。

 

 足型&靴型表面の所番地の設定は、サンプルとして“かがみ式”基点および基線の配列が存在するが、靴業界世界的にない事柄である。

 

 

② 同じ姿勢での測定(同じ姿勢で測定しなければならない意義とは?)

 

 靴にはヒールがあるため、靴を履いている時の足の姿勢は踵が上昇するにつれ、平面姿勢に比べて全面的に変化が起きる。

 

 伸張する部位、短縮する部位もあり、踵上昇に対比して直線的変化と曲線的変化の部分もある。

 

 踵面の傾斜角度は、急角度になる。靴型&ヒール設計には不可欠な事項であるはずが、靴業界に踵上昇足型計測の習慣や、測定器具はなく、平面状姿勢のままの足長や足甲囲の数値を靴型上に移行している。

 そして、平面姿勢の足型計測&数値で、ローヒール靴型だけでなく、ハイヒール靴型まで、設計図もなく作り上げてしまうのである。驚くべき“名人芸”の作業である。

 

 工学的見地では考えられない明らかな矛盾が、感覚技術では平気で通る不思議な技術体系である。

 

  踵の上昇した靴型設計に、足型数値を移行させる為に同じ姿勢での足型計測が重要である。

 そして、足型数値から靴型設計数値への換算式が、明確に確立している事や、靴型本来の基本事項の標準化&サンプルが存在する事などの条件を満たせば、足型数値はスムーズに工学的に靴型設計に連動する。

 

 計測機器の発達、普及により世界の足型収集が可能になった。世界の人々の足に合う靴を提供する事は、当然の目標であり、狙い事である。その為には工学的見地による足型の把握は不可欠な事である。

 

 

(この文章は、各務房男が執筆した論文を、 編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)

 

<引用文献>

各務房男,「足型&靴型の基線配列 位置の確認と記録」,第5版38頁.

各務房男,「足型の基線配列と靴型の基線配列」,第8版30頁.

各務房男,「足型踵上昇計測の意味」,第12版137頁.

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■部品「先芯についての考察 」2016/01/14追加しました。

 

■2016/01/07記事追加しました。

・所感、雑文「製靴技術は、靴有史以来の感覚的靴技術から発展していない