靴型のネジレについて

   靴型のネジレとは床面する靴型底面の傾きが前後方で逆になっていることであり、前方と後方とがねじれている状態をいう

そしてネジレ検査とは、靴型のネジレがある状態とない状態の特徴および善悪について評価することである。

ネジレ検査で重要なことは、靴型定位置の姿勢で見ることである(完成靴を床面に置いた姿勢の靴型のこと

   そのうえで、靴型底面前方外郭線と、後方の踵面外郭線の内外を床面と対比して見ることである。

前方踏み付け部では、中央OO部が床面に接地し、外郭線の内外が床面からて同高であればOKとみる。やや外側の方が高いのはOKであるが、逆はNGる。

   土踏まず部の内外は通常内側が高いのでネジレ検査の対象にはなら

 

外郭線の内外は同高でなくてはならない。それは、通常装着するヒール面は、左右が対称型の同高にできているためである。注意すべきところは靴型の踵面(ヒール装着面、センター線(OO)に対して若干外方向に角度(約5度前後)が付いている(CK1/2線角度)ということである。そのため、側方から見場合外郭線の内外線が開いて見える。

 

床面を基準にして見る前方面と踵面は同方向から同時に見ることできない。そこで、靴型靴型定位置に固定して、器具を用いて測定するのがよい。靴型を手に持って目測で判断することは不可能であり、器具の使用は不可欠である

   靴型測定の習慣のい業界ではネジレ検査は不十分になる。とくに踵の高い靴型の目測は無理である。市販の一般靴型を調査すると、ネジレのある靴型は多い。前方面と踵面の内外が同方向の差であれば、現象を倒れい、別方向の差がある場合は完全なネジレとなる。

   この場合の調整修理は困難である

 

   ネジレのある靴型になりやすい原因のひとつに、靴型は、既存靴型の部分の変化のくりかえしで作られることが多いということがある。例えば、る靴型の爪先部分を変化させただけで新型とした場合、変化のない踵部分は前靴型のままである。もしこの部分にネジレがあれば、それはそのまま引き継がれてしまうそのようなことがない様に、測定を行う習慣をつけるべきである。

 

ヒール本体を観察すると、左右は対称型で内外の区分はない。ヒールには重心が垂直に通り、体重が掛ようできている。し、ヒールが倒れたように装着されれば、体重をかけた時に不安定になるし、ヒールは滑りやすくなり、脱落もしやすく、その靴は危険だという評価になる。

 

   また、靴型底面前方の内外に高度差があれば、体重で靴底外郭線部が地面に押しけられるとき、その動きは高い方に大きく、連動するアッパー材も大きく動き、斜線状のシワを生じ、靴の変型につながることになる。当然にして足あたりは悪い。

 

平面足姿勢から踵を上げると、指のつけ根あたりが屈曲する。屈曲線(親指と小指のつけ根をつなぐ線)斜めなので、骨格から見ても、踵面の内側の方が、外側よりも若干高い状態が通常と思える。そして、この姿勢でヒールの重心を通して作れば、ヒールの状は内外で差のある部品になるはずである。

しかし、実際に流通しているヒール部品は、内外同高のものが普通である。これは、右足と左足のヒール部品を共通としているためである。これに合わせるために、足の自然体を重視せず、靴型踵面を内外同高にしておくのが通常である。

ランニング靴など、ヒールを装着しない靴では、足の自然体を重視した靴型が可能である。この場合はネジレ状態が正規の状である(一般靴とは観点が異なる)。

なお、部品工程から見ると左右対称ヒールが優勢ではあるが、機能的に最善とは限らない。

 

店頭に並んでいる靴を前方から底面と同高の視線で見てみると、前方部底面外郭線の内外差が目測でき。前述したが、この部分は、外郭線の内外が床面からて同高か、やや外側の方が高いのはOKであるが、逆はNGであるしかし、実際には内側の方が高い靴が多く見られる。この現象は、靴型のネジレに起因する場合のほかに、部品設計およびアッパーの型紙矛盾や、釣り込み力量起因することもある。

いずれにしてもよい現象ではい。後方から見てヒールが倒れて見える靴は問題外である

 

以上、靴型のネジレについて説明した。

 

 

 

(この文章は、各務房男が執筆した論文を、編集スタッフが許可を得て、要約、加筆修正したものです)

 

 

 

<引用文献>

 

各務房男,「靴型の捩じれについて」,1585.

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■部品「先芯についての考察 」2016/01/14追加しました。

 

■2016/01/07記事追加しました。

・所感、雑文「製靴技術は、靴有史以来の感覚的靴技術から発展していない